「咲姫って名前で呼ばせて。それと、日生くんじゃなくて玲央って呼んで」
「……え!?」
な、名前で!?
それって恋人同士がやることのような気がするけど……。
「ってことで、呼んでみて」
「い、今?」
「うん。今」
そんなこと急に言われても恥ずかしいよ。
でも…お礼するとか言っちゃったし……。
ああ私のバカ!
あんなこと言わなければ良かった。
今さら後悔しても遅いけど……。
「……れ…お……」
消え入りそうな声で呟くと、
「聞こえない」
そう言って、また日生くんが意地悪な笑顔で私の顔を覗き込んだ。
だから、至近距離やめてってば!
「……玲央!」
もう一度、今度は大きな声で言うと、
「よくできました」
そう言って、日生くん(やっぱり恥ずかしくて名前で呼べない)が私の頭を撫でた。
なんか、私、いつもこうやって頭撫でられてるような……。
「……なんか咲姫って猫みたいだな」
日生くんが呟いた。
「……猫!?」
もはや人間じゃない!?
