天然クール王子は仔猫ちゃん溺愛中。


今日は助っ人頼まれてる部活もないし、帰るか。

そう思って、歩きかけた時だった。

体育館から、ボールの音が聞こえた。

……まだ誰かいる?

さっき歩いてきたクラスの女子達の中で見かけなかった女子って言ったら、誰なのかだいたい予想はつく。

開けたままの体育館の後ろの扉から中を覗き込む。

体育館の中にいたのは、予想通り篠宮だった。

ひとりで、シュートの練習をしている。

俺が中に入っても篠宮は全く気づかず、練習を続けている。

何度かシュートを打ってるけど、コツがつかめてないらしくなかなか入らない。

「やっぱダメだぁ…」

まだ俺がすぐ後ろにいることに気づかず、篠宮がつぶやいたその時。

「ボール投げる時の位置変えてみな」

タイミングを見計らって声をかけると、

「日生くん!?」

篠宮は慌てて振り返って、俺がいることに心底驚いている。

「ちょっと前からいたんだけど、全然気づいてねぇんだもん」

こんな近くで見てても気づかないって、集中力すごいな。