「……あ。もうここまでで大丈夫だよ」
職員室の廊下の前で、篠宮が遠慮がちに言った。
「大丈夫か? 一緒に中まで持っていってもいいけど」
「大丈夫。私ひとりで持っていかないと塚ちゃん文句言いそうだし」
「そっか。じゃ、頑張れ」
ここまで来たからには最後まで手伝うつもりでいたけど、確かに塚ちゃんのことだから2人で持って行ったらなんか言いそうだな。
篠宮の言葉に納得して持っていた問題集を渡すと、
「ごめんね、手伝ってもらっちゃって……」
篠宮が申し訳なさそうに言うから、ビックリした。
ほんのちょっと手伝っただけなのに、そんな風に言われるなんて思わなかったから。
「俺が持つって言ったんだから気にするなって。それより、早くしないと昼休み少なくなるぞ」
笑顔でそう言うと、篠宮は頷いて職員室に入っていった。
……なんだろう。
やっぱり篠宮と話すと、ほんわかした空気に包まれる気がする。
もっと話したくなる。
そんな風に思ったことなんて、今までなかったのにな。

