塚ちゃんが呆れ顔で言った。
あ~あ、運悪かったな、篠宮。
授業後、俺はいつもの様にすぐ教室を出た。
でも、いつもより歩く速度は遅い。
そのわけは……。
聞こえてくる足音の方に視線を向けると、予想通り篠宮が問題集を持って歩いてきた。
問題集とはいえ、クラス全員分ともなるとかなり重そうだ。
小柄だから、余計に重そうに見える。
やっぱり見てるとほっとけなくなる。
「篠宮」
声をかけると、
「日生くん」
篠宮が顔を上げて、足を止めた。
「運悪かったな、塚ちゃんに当てられて」
「……まあね」
いまだに男子と話すのに慣れていないのか、声のトーンがなんとなくぎこちない。
「それ、半分持つよ」
言いながら、俺は篠宮が持っていた問題集を半分手に取った。
「え!? 大丈夫だよ」
「いいって。どうせ、職員室って購買部の通り道だし」
そう言って、俺は問題集を持ったまま歩き出した。

