ドキドキとは違う、胸の奥がギュッとしめつけられるような感じ。
嬉しいのに悲しいような、泣きたくなるような……上手く言葉にできない感覚。
開けたままの扉から心地よい風が吹いてきて、目の前にいる日生くんの髪がなびく。
キレイに染まった、明るい茶色の髪。
サラサラって音が聞こえてきそうなくらいキレイな髪質。
天パーの私にとっては羨ましい限りだ。
そして風に運ばれて、また日生くんのコロンの爽やかで甘い香りがした。
今度は胸の奥がしめつけられるような感じと、いつものドキドキと両方の感覚。
これは、きっと男の子と話して緊張してるからじゃない。
日生くんがそばにいるから。
なんとなくだけど、それはわかってるんだ。
突然、沈黙を破るように下校時刻の校内放送が流れてきた。
もうそんな時間だったんだ。
「鍵、閉めるだろ?」
「……あ、うん」
日生くんに言われて、私はジャージのポケットに入れていた鍵を出した。
「ボール片付けてくるから、鍵よろしく」
言いながら、日生くんはボールを持って体育館を出た。

