「……で、今みたいに両手外側に開く感じ。わかった?」
「へっ!?」
やだ、肝心なところ見てなかった。
しかも間抜けな声だしちゃった。
「こら、ちゃんと見てなかっただろ?」
日生くんがそう言いながら私のおでこを軽く小突いた。
だって、距離が近すぎるんだよ。
また心臓ドキドキしてる。
「人の見るより一緒にやった方が早いか」
突然、すぐ上から声が降ってきて、後ろから手首を軽く掴まれた。
ちょ、ちょっと待って!
この体勢ってもしかして……。
私のすぐ後ろに日生くんがいて、チビな私は日生くんに後ろから抱きかかえられてるみたいな状態。
背中に日生くんの温もりを感じる。
日生くんがつけてるコロンの、爽やかでほんのり甘い香りが私の鼻をかすめる。
もう、距離が近いどころじゃない。
心臓の音がドキドキを通り越してバクバクになってる。
「ボールを離す時にこういう感じで手を離して……」
日生くんが私の手を動かしながら説明してくれてる。
でも、私は心の中でひとりパニック。
男の子とこんなに至近距離で接したことなんてないから。

