「これ、バレンタインのチョコです」
ちょっと緊張しながら、そう言って夏川くんに包みを渡すと、
「ありがとう」
笑顔で受け取ってくれた。
「それ、ちゃんと手作りだからね」
「え、マジで? 腹壊したりしないよな」
「……! も~ひどい! そんなこと言うならあげない!」
「わ、うそうそ、ごめんなさい!」
なんてふたりでふざけていたら、
「!?」
予想外の至近距離にビックリして思わずあとずさると、すぐ後ろはベッドで。
「きゃっ」
バランスを崩してよろめいた私に覆いかぶさるように、夏川くんが一緒に倒れこんできた。
すぐ目の前に、夏川くんの整った顔。
一瞬時が止まったかのようにお互い見つめ合う。
「……伊吹」
囁くように名前を呼ばれて、目を閉じたその時。
部屋のドアをノックする音が聞こえて、慌ててふたりで体を起して立ちあがりながら、「は~い」と返事をする。
「ケーキ用意したから、下にいらっしゃい」
お母さんがドア開けて、声をかけてきた。
