【Side 伊吹】
今日、私は人生で初めて彼氏に本命チョコを渡します。
相手はもちろん、夏川くん。
日生くんとつきあってた時は、クリスマスに別れてバレンタインにチョコをあげられなかったから。
今年のバレンタインデーは日曜日で夏川くんはサッカー部の練習があるから、部活帰りに私の家に来てもらうことにした。
自分の部屋で机に置いてあるチョコを見ながらドキドキしていたら、来客を告げる家のインターフォンが鳴った。
急いで玄関へ向かうと、すでにお母さんがドアを開けていた。
「あら、いらっしゃい」
「こんにちは。お邪魔します」
夏川くんが笑顔であいさつをしている。
「お母さん、ちょっとだけ部屋に行くね」
「はいはい、ごゆっくり」
お母さんに声をかけて、私は夏川くんと一緒に自分の部屋へ向かった。
「どうぞ、入って」
夏川くんにそう言って、私は自分の部屋へ案内する。
「綺麗に片付いてるんだな」
「そう?」
綺麗に片付いているというより、余計なものがないだけだと思うけど。
そんなことを考えながら、机に置いてあるラッピングされた包みを手に取る。
