天然クール王子は仔猫ちゃん溺愛中。


【伊吹Side】


「あ~全然わかんねぇ」

放課後の自習室。

英語の教科書とノートを広げて、夏川くんがぼやいた。

「てか、日本人なんだから英語なんてできなくてよくね?」

挙句の果てにはそんなことまで言い出してる。

夏川くんの言葉に、周りにいた他の生徒達からクスクスと笑い声が聞こえた。

「でも、期末試験には出るんだから、仕方ないよ。もう少し頑張らないと」

隣でなだめるように私が言うと、

「ホント、美原って真面目だよな」

感心してるのかバカにしてるのかわからないような言い方で夏川くんがつぶやいた。

2学期の期末試験が近づいている11月下旬。

私は先生から頼まれて、自習室で夏川くんに勉強を教えている。

1学期の期末試験の時から恒例になりつつある勉強会。

夏川くんは、なんとか赤点は免れているけど、まだ平均点には届かないレベルだ。

「……俺が平均点以上取れたら……」

夏川くんが何か言いかけた、その時。

「だからいい加減にしろって!」

廊下から大きな声が聞こえて、自習室にいるみんなが一斉に廊下の方へ視線を向けた。