本当に桐生くんとは玲央に電話したあの日以来会ってないのに。
一緒にバイトしていた時だって、何もなかったのに。
でも……。
「咲姫は、俺のこと好きじゃないの……?」
玲央はまだ納得してないみたいだ。
「好きだよ。…でも…今はまだ怖いの…」
しゃくりあげながらそうつぶやいた私を、玲央は黙って見つめていた。
玲央のことはホントに好き。
いつかそういう時が来るかもしれないとは思ってた。
だけど、その「いつか」はまだ先のことだって思ってた。
今はまだ怖いよ。
好きなのに怖い。
好きだから怖い。
そのあと、どうやって家に帰ったのかはあまり記憶にない。
放心状態で電車に乗って、気がついたら家に着いていた。
自分の部屋に直行して、すぐに携帯で流風ちゃんの名前を探す。
『話したいことがあるから、今から電話してもいい?』
とりあえずそう送ってみたら、送信して数分ですぐに電話がかかってきた。
「咲姫? 今日どうだった!?」
流風ちゃんの声を聞いたらなぜか急に安心して、我慢してた涙が一気に溢れてきた。
