「日生センパイ」
ある日の放課後、球技大会の練習のあと。
バスケ部の助っ人で体育館へ向かおうとしたら、体育館裏で誰かに声をかけられた。
振り向くと、そこには今一番嫌いなヤツがいた。
「なんだよ?」
「球技大会で俺が優勝したら、咲姫ちゃんもらっていい?」
「はぁ?」
いきなり何言い出すんだ、こいつは。
もらうって、咲姫は物じゃねぇんだよ。
桐生はいつも、冗談なのか本気なのかわからない意味不明なことを言う。
素直な咲姫はそれを真に受けて反応するから、それが可愛くて桐生がまた咲姫につきまとう。
この数週間そんな毎日を過ごしてきて、俺のイライラも限界に達していた。
「俺がいいって言うとでも思ってんのか? ダメに決まってんだろ」
「へぇ?自信ないんだ?」
「そういうわけじゃねぇよ」
「じゃあいいだろ」
「よくねぇよ」
「ふ~ん。そんなに自信ないんだ」
こいつ、マジでウザい。
