「夏川のことは“爽くん”って名前で呼んでるじゃん」
「だって爽くんは幼なじみで…」
言いかけた咲姫の肩を抱き寄せる。
「ちょっと、みんな見てるから離して」
咲姫は相変わらずみんなの目を気にしてるけど、こうなったら強硬手段。
「咲姫が名前で呼んでくれたらな」
言うまで離さない作戦実行。
「……!」
「じゃないとずっとこの状態で駅まで歩くことになるけど?」
わざと意地悪く言ってみると、
「玲央」
やっと咲姫が名前で呼んでくれた。
「うん。これからはずっとそう呼んで」
そう言って咲姫の頭に手を乗せる。
こんな風に堂々と咲姫そばにいられて、咲姫に触れられることが今は一番嬉しい。
