つきあってるわけでもないのに名前で呼ぶのは恥ずかしくてできないって思ってたから。
「恥ずかしい?」
私の気持ちを見透かしたように日生くんが言う。
「恥ずかしいよ」
「夏川のことは爽くんって名前で呼んでるじゃん」
「だって爽くんは幼なじみで……」
言いかけて視界が揺らいだ。
日生くんが私の肩を抱き寄せて完全密着状態になってるんだ。
周りの人たちがみんな私達の方を見てる。
「…ちょっと、みんな見てるから離して」
「咲姫が名前で呼んでくれたらな」
「……!」
なんか前にもこんなことあった気がするんですけど…。
「じゃないとずっとこの状態で駅まで歩くことになるけど」
わかったよ、呼べばいいんでしょ。
「玲央」
「うん。これからはずっとそう呼んで」
そう言って、日生く……じゃなくて、玲央が笑顔で私の頭に軽く手を乗せる。
その笑顔と仕草に、やっぱりドキドキする。
私、ホントに玲央とつきあってるんだ。
些細なことだけど、改めてそう実感する。
