天然クール王子は仔猫ちゃん溺愛中。


「じゃあ途中まで送るよ」

日生くんはそう言ってくれたけど、

「私は大丈夫だから。早く咲姫に連絡してあげて」

私はきっぱり断って、そのまま振り返らずに足早にお店を出た。

日生くんの前では絶対泣かないと決めていたから。

さっきは日生くんと一緒に歩いた道を、ひとりで歩く。

周りには幸せそうなカップルがいっぱい。

街を彩るイルミネーションが涙で滲んでいく。

これでいいんだよね。

咲姫も日生くんも、本当の気持ちを言えずに悩んできたんだから。

今度はふたりがうまくいってくれればいい。

『日生くんと別れた』

その日の夜、流風にそうメッセージを送信したら、すぐに電話がかかってきた。

「どういうこと!?」

驚いている流風に、私は今までのことをすべて話した。

「あたしが悪かったのかも」

話を聞き終わった後、流風が静かに言った。

「あたしが、咲姫に協力してねって言ったから……」

「そんなことないよ」

流風は流風なりに、友達として私のことを応援してくれていた。

それは決して責められることじゃない。

誰が悪いとかじゃない。

誰かの笑顔の裏で誰かの涙がある。

恋って、きっとそういうものなんだ。

「明日、咲姫に会ってちゃんと話そうと思うんだけど…」

私の言葉に、

「そうだね。そうしよう」

流風が頷いてくれた。