天然クール王子は仔猫ちゃん溺愛中。


【Side 伊吹】


「ごめん。俺、もう美原とはつきあえない」

クリスマスイブ直前のある日の帰り道。

突然、日生くんにそう言われた。

「……どういうこと……?」

私の問いかけに、

「俺、他に好きなヤツいるんだ。彼氏がいるから諦めようと思ったけど、やっぱりムリだってわかったから」

日生くんは正直に答えた。

「……そっか」

ついに、“その時”が来たんだ。

「私ね、ホントはなんとなくわかってたんだ。日生くんの好きな人って……咲姫でしょ?」

「なんでわかった?」

「女のカンってやつかな」

日生くんの言葉に、曖昧に笑って答える。

わかるよ。

だって、日生くんの視線はいつも咲姫に向けられていたから。

「だから、そう長くは続かないだろうなって思ってた」

最初から、日生くんが私のことを好きでつきあってるわけじゃないのはわかってた。

でも、あともう少しだけ、そばにいさせてほしい。

そうしたら、きっぱり諦めるから。