天然クール王子は仔猫ちゃん溺愛中。


ホントは今だって咲姫のことがすごく好きだ。

でも、俺とつきあってることで咲姫がかえって苦しい思いをするなら、終わりにしよう。

咲姫には、笑っていてほしいから。

「……ホントにごめんね……」

また泣きそうな表情で咲姫が言った。

だから、もうそんな顔するなよ。

「さっきのキスでチャラってことで。早く行って来い!」

俺は、わざと明るくそう言って、咲姫の背中を押した。

背を向けて走って行く咲姫の後姿が、かすかにぼやけて見えた。

好きなのに、なかなか素直になれなくて。

やっと素直になれて、想いが通じたと思ったのに。

でも、それはほんの一瞬の儚い夢だった。

初恋は実らないって、ホントなんだな。

そう思いながら歩き出すと、ある曲が流れてきた。

クリスマスなのに、ひとりきりだという曲。

今の俺にピッタリだ。

そう思って、自嘲気味に笑いながら、俺は心の中でひとりつぶやく。

さよなら、俺の初恋。