ずっと苦しんでた咲姫を責める気にはなれない。
だけどこのままあっさり日生に譲るのは、やっぱり悔しいから。
「お詫びってことで、1度だけいい?」
返事を待たずに、最初で最後のキスをした。
「……なんで、初めてだったのに……」
「初めてじゃねぇよ」
咲姫がつぶやいた言葉に思わずそう口にすると、
「……えっ?」
かなり驚いた様子で咲姫が俺を見た。
「あいつ。日生」
ホントは、言わないでおきたかったけど。
もう、ここまできたら隠しててもしょうがないよな。
「咲姫が体調悪くて保健室行った時、あいつが…寝てるおまえにキスしてた。俺…偶然見てたんだ。多分、あの時咲姫を保健室に連れて行ったのも日生だよ」
あの時、咲姫が具合悪くて保健室にいるっていうのを聞いて慌てて保健室へ向かった。
だけど、ドアの前で日生が保健室にいるのに気づいて、一瞬入るのをためらった。

