「………」
だけどそんな気持ちは伝わるはずもなく、咲姫は困ったようにうつむいたままだった。
その沈黙が、咲姫の答えだとわかった。
もうこれ以上知らないふりはできない。
「咲姫、他に好きなヤツいるだろ?」
「……!?」
俺の言葉に、咲姫がハッとしたように顔を上げた。
「やっぱりな。……日生だろ?」
ハッキリ確信を持って聞く。
今日も、文化祭の時も、親睦会の時も。
咲姫は日生と美原の姿を見て落ち込んでたんだ。
それに男嫌いで有名だった咲姫が、日生とは放課後にふたりきりでいたなんて。
咲姫は日生のことが好きだとしか考えられない。
「……ごめんね……」
そう言ったあと、咲姫の瞳からは涙が溢れていた。
きっと咲姫は咲姫なりに苦しんでいたんだと思う。
多分、美原と友達だから自分の気持ちを隠して忘れようとして、俺とつきあってた。
でも、日生への気持ちを忘れて俺のことを好きにはなれなかったってことか。

