そのたくさんの人たちの中で、あるカップルが目に入った。
遠目に見ても、華やかな雰囲気のふたり。
日生と美原だ。
ふたりもここでデートか?
しかしこうやって見ると、美男美女カップルで優勝した2人だけあって、さまになってるな。
私服だから、余計に大人っぽく見えるし。
なんて思っていたら、順番が来た。
「お待たせ」
会計を終えて咲姫の向かい側の席に着くと、咲姫が神妙な表情で窓の外に視線を向けているのがわかった。
きっと、咲姫も日生と美原の姿に気づいたんだろう。
「……どうした?」
さりげなくそう聞いて俺も窓の方を見ると、もうふたりの姿は見えなかった。
「なんでもないよ、食べよう」
咲姫は明るくそう言ったけど、それがかえって動揺していることを感じさせた。
それから、咲姫はずっと上の空だった。
笑ってはいるけど、それもきっとホントの笑顔じゃない。
会話をしていても、時々何かを考え込むように黙ってしまう。
咲姫の様子がおかしい理由。
思い当たることはひとつしかなかった。



