図書館の前に着くと、入口のドアには“本日は閉館しました”の看板が立っていて、誰もいなかった。
街灯が冬の夜空を儚く照らしている。
ポケットからスマホを出して深呼吸すると、咲姫に電話をかけた。
「……もしもし?」
何回目かの呼び出し音のあと、聞こえてきた声。
電話越しに聞く咲姫の声は、妙に幼く聞こえた。
「……咲姫?」
「……日生くん……?」
かなり驚いたような咲姫の声。
そりゃそうだよな。
まさか俺から電話がかかってくるなんて、思ってなかったはずだから。
「美原に番号教えてもらった。話したいことがあるんだ。今から会える?」
俺がそういうと、
「……えっ!?」
咲姫はさらに驚いたように大きな声を出した。
「……わかった。どこに行けばいい?」
そして数秒の沈黙のあと、そう聞いてきた。
「市立図書館の前で待ってるから」
そう伝えると、俺は電話を切った。
会えるとわかったとたん、急に緊張してきた。

