抱きかかえたままの咲姫をそっとベッドに寝かせる。
やっぱり体調が悪いのか、顔色が悪い。
とりあえず、職員室に行って保健医呼んでくるか…。
そう思ってドアの方に向かおうとした時、
「……日生くん?」
小さな声だけど、咲姫が確かに俺の名前を呼んだ。
もしかして気がついた?
と思ったけど、相変わらず咲姫の目は閉じられたままで、かすかに寝息が聞こえた。
なんだ、寝言か。
でも、なんで俺の名前なんだろう?
もしかして俺の夢、見てるとか?
そう思ったら、急に気持ちが揺れる。
そして、さらに信じられない言葉が聞こえてきた。
それは、聞きとれるか聞きとれないかくらいの小さな声だったけど。
「……す…き……」
確かにそう聞こえた。
すき?……好き?
思わず咲姫の顔を見つめると、まだ眠ったまま。
夏川と俺を間違えてる?
それとも、ホントに俺の夢を見てる?
それはわからないけど。



