天然クール王子は仔猫ちゃん溺愛中。


とりあえず咲姫のクラスに行ってみよう。

そう思って近道の校舎裏を通りかかった時、誰かが座りこんでいるのが見えた。

そのまま歩いて近づいていくと、ハッキリ誰だかわかった。

「……咲姫?」

目の前で立ち止まって名前を呼ぶ。

咲姫が顔を上げた瞬間、ビックリした。

明らかに泣きはらした顔だったから。

「なんで泣いてんだよ」

思わずそう訊くと、

「……なんでもないよ」

咲姫は慌てて視線をそらして言った。

なんでもなくないだろ?

なんでそんな顔してんだよ。

親睦会の時も、ひとりで落ち込んでたし。

何ひとりで抱え込んでるんだよ。

強がってるその姿がいじらしくて、ほっとけなくて。

その場から離れようとした咲姫の腕を、思わず掴んで引きとめていた。