高校に入って咲姫と出会ってからは、咲姫がどうしたら話してくれるかとか、笑顔を見せてくれるかとか、そんなことばかり考えるようになって…特定の彼女は作ってなかったけど。
だけど今、咲姫は夏川とつきあっていて。
この気持ちはもう捨てるしかないんだ。
それなら……。
「いいよ」
しばらく考え込んでいた俺が小さな声で呟くと、美原は俺の言葉の真意がわからないというような不思議そうな表情で首を傾げた。
「ホントの彼女になっていいよ」
俺はもう一度、今度は意味がわかるように言った。
正直、美原のことを恋愛対象として好きだと思っているわけじゃない。
でも…美原とつきあえば、今の気持ちを忘れられるかもしれない。
そう思った俺は、自分の心にウソをついて美原の告白を受けた。
「……ホントに?」
信じられないという表情で訊き返してきた美原に、
「うん。これからよろしく」
俺は、自分で自分の気持ちを吹っ切るように笑顔でそう口にしていたんだ。
