【side 玲央】
高校入学初日。
遅刻ギリの時間で目覚めて、眠い目をこすりながら電車に乗ったら……。
なんだよ、このラッシュ。
うんざりしながら何気なく周りを見ると、ふとある人物に目がいった。
スーツ姿のオヤジに囲まれて、苦しそうにこのラッシュに耐えている女の子。
かなり小さくて周りの人に埋もれている。
あれはしんどいだろうな。
中学生くらいか?と思ったら、俺と同じ高校の制服を着ている。
ってことは、あの小ささで高校生なのか。
なんて思っていたら、最寄駅に着いた。
あの子も多分同じ駅だよな?思って降りようとしたら、案の定女の子は人に囲まれて降りられない。
「ドアが閉まります」
アナウンスが流れる。
「すみません、降ります」
見かねた俺は、その女の子の手を引っ張って大きな声を出した。
やっと周りの人がどいて、なんとか電車から降りられた。
「危なかったなぁ」
俺がつぶやくと、女の子は一瞬俺を見上げた。

