周りを見回すと、小さなオレンジ色の花がたくさん咲いている木があった。
金木犀だ。
この香り何かの香りに似てるなと思って、思い出した。
日生くんがつけてるコロンの香りに似てるんだ。
そう思ったら、ギュッと胸が詰まって、なぜか無性に泣きたくなった。
伊吹ちゃんと日生くんがいい雰囲気なんだから、友達として喜んであげるべきなのに…。
素直に喜べない、そんな自分がイヤ。
諦めなきゃって思っても諦められない自分がイヤ。
胸が痛くて、苦しくて、気づけば涙が溢れていた。
むせぶような甘い香りに包まれて、私は声もたてずに泣いた。
どれくらいそこで泣いていたんだろう。
やっと少し落ち着いてきた頃、足音が聞こえてきた。
だんだんこっちに近づいてくる。
そしてその足音は私の目の前で止まって、
「……咲姫」
名前を呼ばれた。
顔を上げると、目の前には爽くんが立っていた。

