そういえば、日生くんジャージ姿だ。
「着替え取りに来ただけからもう行くわ」
「あ、うん……」
日生くんは自分の机の上に置いてあった袋を取ると、教室を出て行った。
教室にはわたしひとり。
急に静かになって、時計の針の音が響く。
窓の外から、部活をしている人たちの声が聞こえる。
ビックリした。
あんなに日生くんと話したの初めてだ。
まだ心臓がドキドキしてるし、頬も熱い。
なんだろう、これ。
わたし、さっきからなんでこんなにドキドキしてるの?
珍しく男子と話したから?
男子に「かわいい」って言われたから?
高鳴る鼓動に戸惑ったまま、わたしはしばらく教室の中ひとりで立ち尽くしていた。
そして、なぜか突然頭の中にふっと、流風ちゃんの言葉が浮かんだ。
“恋はある日突然落ちるものなんだからね”

