天然クール王子は仔猫ちゃん溺愛中。


それどころか、最近まともに話しすらできてねぇし。

咲姫の態度が明らかにおかしくなったのは、多分あの親睦会の日からだ。

もしかしたらあの時に何かあったのかもしれない。

なんて考えていたら、

「じゃあ、美原とはどうよ?」

松村が興味津々の様子で訊いてきた。

「美原?」

なんで美原?

「おまえら同じ中学で美男美女で有名だったらしいんじゃん。親睦会でもいい雰囲気で話してたみたいだし。それに、後夜祭で候補者になってんだろ?」

「………」

すげぇ情報網だな。呆れて言葉が出ない。

「美原ともつきあってねぇし」

そう言って立ち上がると、俺は教室を出た。

あれ以上色々訊かれるのは面倒だったから。

とりあえず、自販機でジュースでも買うか。

そう思って廊下を歩いていたら、向こう側から走って来た女子とぶつかりそうになった。

「ごめんなさ……」

その子が謝りながら顔を上げた時、

「咲姫?」

俺は思わず名前を呼んでいた。

制服姿じゃなかったから一瞬誰だかわからなかったけど、ぶつかりそうになったのは咲姫だったんだ。