「咲姫、そっち終わった?」
教室のドアから佐神に声を掛けられて、
「教室の方手伝ってくるね」
咲姫は慌てて視線をそらして教室の中に入ってしまった。
せっかく話せるチャンスだと思ったのにな。
やっぱり、なんか俺のこと避けてる気がする。
* * *
文化祭まであと2日。
学校は授業なしの文化祭準備一色に染まっている。
うちのクラスでは、男子は教室でセッティング準備、女子は被服室で衣装の準備。
机と椅子をカフェっぽく並べて、ティーカップやポットを用意している。
カップとポットは持ち寄りのちゃんとした陶器のセットだから、割らないように慎重に準備しないと、持ってきた女子に怒られる。
「そういえば日生、篠宮とはどうなってんだよ?」
突然、隣にいた松村に訊かれた。
「は?」
なんで今そんな話になるのかわかんないんだけど。
「1学期に、体育館にふたりきでいたって大騒ぎだったじゃん? 結局おまえらつきあってるのか?」
「別につきあってねぇよ」
