_本を読み進めると、分かったことがあった。
時計塔は思ったよりも小さいこと、著者はこの時計塔が造られた当初に見たことがあること。
そして、100年前の生活様式。
そんな様々なことが分かった中で、一際目立つものがあった。
「タイムスリップ…?」
100年前の時代が書かれたノンフィクションかと思ったが、違ったのか?
タイムスリップなんて、現実味が全く無くなってしまった。
この本には、著者が造られたばかりの時計塔に興味を持ち、訪れた際にタイムスリップをした。
タイムスリップをした先は100年後の未来だと書かれている。
「100年後の未来といえば、丁度今頃か。」
この本の著者は、100年後の未来を見て、どう思ったのだろう。
大正時代とは全く違う社会のあり方に、国際関係。そして生活。
全てが違う世界に愕然として、まるで夢の世界だとでも思ったんじゃないだろうか。
「100年後の未来か…。」
100年後の未来。どうなっているんだろうという好奇心から、行ってみたい気もするが、怖いが勝つな。
今から100年後なんて、自分はとっくに死んでしまっているに違いない。
見れない世界を見るのもロマンがあるが、見なければ良かったと思ってしまう恐怖もある。
「俺は行かなくていいや。」
…なんて、こんなのフィクションの話だ。そんなに真剣に考えなくていい。

「はあ…、計画を立てよう」
ふう、と全身を伸ばしてから起き上がる。
正直、時計塔がメインで食べ物は二の次だ。
計画を立てるのに、時間と行く先は明確にしなくてはならない。
特に計画を立てずにとりあえず遠出をするのも楽しいらしいが、俺は心配性だからきちんと考えてから行く。
机と向かい合って、紙を置いてパソコンを開く。
計画を立てる時間は好きな方だと思う。
この時間は、ちゃんと自分の時間として使えている気がするから。
「まずは…やっぱり、時計塔だよな」
時計塔に最初に向かえるよう、電車の時間を調べよう。