自室に戻って、ポケットから貰ったお土産を取り出す。
小さな包み。
テープで留めてある部分を開けようとするが、ビリっと包み紙まで破いてしまう。
あぁ、俺の中では、この出来事は少しだけ気分が下がる。
綺麗に破いた時の爽快感はとても心地よいのに、破いてしまったこの喪失感も比例する。
とりあえず、もうテープと格闘することは諦めて中身を取り出した。
「ん…?」
_ストラップ?
中身は小さな包み紙に等しい、ストラップだった。
商品名は、赤瓦ストラップ…。説明を読むには、割れると願いが叶うらしい。沖縄のお土産だそうだ。
「割れるって…こんな硬いもの割れるのか?」
というより、割れたところで本当に願いが叶うのだろうか。
「何につけよう…」
せっかく貰ったのに、そのまま放っておくのもなんだか申し訳ない気がした。
何につけようか部屋の辺りを見回すと、良く使う鞄が目に入った。
これなら、つけておいても良いかもしれない。それに、持ち歩いていればいつか割れそうだ。
そう思った俺は、すぐに鞄につけた。

つけてみたところ、それほど違和感もなく良い感じだ。
果たして、割れる時は来るのだろうか…。
ストラップをつけた鞄を元の定位置に戻し、次にやることを考える。
特に思いつかなかったが、ふと気掛かりなことを思い出した。
「あの本…」
あの本は、どうしてあの本屋に置いてあったんだろう。しかも、知らないほど前から。
何か隠された秘密があるんじゃないかなんて、ファンタジー地味たことを考えてしまう。
それくらいには、不思議なものだった。
「ちゃんと全ページ読んでみよう」
そう思い立ち、俺は再びあの本を手に取りベッドに寝転ぶ。
そして一から本を読み始めた。