完璧御曹司の溺愛




「あ、あの違うの…。これはね……あ、足が痺れて…」


「そんな言い訳、聞きたくないな…」


 悠斗の冷めた口調。


 理央は思わず謝った。


「ごめんなさい…」


 寝起きでいきなりこんな事されたら、誰だって不快に決まってる。


 理央の胸がズキリと痛んだその時、悠斗は突然、理央をそのまま胸に抱き込んだ。


「あっ」と、理央は体勢を崩し、思わず声をあげる。


「ゆ、悠斗っ!」


 ベッドの上で抱き合う二人。


 悠斗は理央を強く抱き込んだままで、理央に顔も上げさせてくれない。 


 悠斗の男らしい広い胸板に身を預けながら、理央は悠斗の制服の白いシャツにギュッとしがみついていた。


「ごめん。理央がそうしたくて、俺の目の前に来てくれたって思いたかっただけだから…」


 悠斗の切なげな声に、理央の胸はキュッと縮む。


「ジッとしてて?足が痺れてるんでしょ?」


「う、うん…」


「何もしないから。このままでいたいだけ…」


 私だって、このままでいたいよ。

  
 一度知ってしまうと、忘れられずにいた。


 あのレストランの展望台で、悠斗に抱きしめられてからというもの、この甘い胸の温もりを私はずっと求めていた…。