完璧御曹司の溺愛





_____どれくらいたっただろう。


 
 悠斗の指に触れたまま、いつの間にか眠ってしまった理央は、ゆっくり瞼を開けた。

 
 目の前の悠斗は、まだ静かな寝息を立てている。


 その事に満足しながらも、理央はふと、悠斗の迎えの事が気になり、一階のリビングへ下りようと思った。


 立ち上がった時、両足が痺れている事に、その瞬間になって気がつく。


 時は既に遅く、理央の足はもつれ、悠斗の眠っているベッドの上に飛び込みそうになった。


「あ…」


 悠斗を避けるように、とっさに枕の両脇に手をつく。


 悠斗はまだ、目を閉じていた。


 良かった…。


 気づかれていない。


 でも、どうしよう。


 足は両足とも痺れていて、全く力が入らなかった。


 まずは膝を床につけようと、顔の位置を悠斗に寄せた時だった。


 パッと、目を開けた悠斗と、目と鼻の先で目があった。



「___!!」



 どうやら、理央の髪が悠斗の頬に触れて、目が覚めてしまったらしい。


 息がかかりそうな距離で見つめあう、理央と悠斗。


 恥ずかしさが限界を超えてしまった理央は、もう一度、悠斗が目を閉じて眠ってくれないかな…と、逆にどこか冷静に思った。


 でも、それはさすがにない。


「理央?」


 悠斗は驚いたように、目を見開いている。


「あ、起きちゃった?…お、おはよ?」


 おはよ。とか、私もう、わけわからない事言ってるし。


 悠斗からしたら、この態勢は理央がキスを迫っているように見えるだろう。


 でも、足は痺れたままで、どうしようもないから、これ以上動きようもなくて。


 半ばパニックの理央は、私がいつまでも悠斗に告白をできないから、神様がいい加減見兼ねて、こんなイタズラをしたのかもしれないと、思っていた。