「悠斗?何かおかしかった?」
「ごめん。そんな質問をする理央が、可愛くてつい…」
「悠斗ってば、はぐらかさないで?」
「ごめんね?でも、はぐらかすつもりはないんだよ」
「じゃあ、どうして?」
「昨日の理科室で、俺、理央に何を言ったか、ちゃんと伝わってる?」
『理央、俺は、理央が好きだよ…』
鮮明に蘇るのは、あの言葉。
それを今、ハッキリと思い出してしまい、理央は悠斗に返す言葉につまってしまった。
「理央は忘れてしまった?それともあの時、ちゃんと聞こえてなかったのかな?」
聞こえてなかったわけじゃない。
忘れたわけでもなかった。
ただ、悠斗の気持ちに確信を持てずにいただけ。
兄妹とも知らされていなかった時に聞いたあの言葉を、兄妹になると知ってからは深く考えないようにしていた。
「それなら何度でも言う。俺、理央が好きだから…」
でも悠斗は、何の躊躇もなく、もう一度告げた。
身体が一気に熱をもって、今すぐ水風呂に浸かりたい気分になる。
「こんな事、誰にでも言うわけじゃない。俺は、理央にしか言わない」
「ほ、本気なの?」
「もちろん本気。俺は正常だよ」
「ただ、今、理央が隣にいない事が辛い。早く理央を抱きしめたいと、狂いそうなくらい思ってはいるけどね」と、悠斗は付け加える。
「で、でも、それって…、悠斗の言う、好きってその…」
「その…?」
「兄として…。兄妹愛とか?そういうのだよね?」
ためらいながら言葉を繋げる理央に、悠斗がクスリと笑う。
「いや、違うよ。俺は理央に、本物の恋愛感情を抱いてるよ」
「!?」
悠斗の真っ直ぐな言葉が、理央の耳を貫いていく。
