完璧御曹司の溺愛






 嫌悪しか感じなかった____


 保健室で裕太に腕を掴まれたとき____




 幼い頃から隣にいる事が当たり前だった裕太。

 もちろん、手を繋いだ事だって数知れない。


 今更、裕太を嫌いになったわけでもないのに、

 でも、触られるのは嫌だと思った____



 その夜、お風呂に入っていた理央は、保健室で裕太に掴まれた自分の腕を、ジッと見つめていた。


 それから、理央はそっと、目を閉じる。


 脳裏に浮かぶのは、昨夜、悠斗と過ごしたあの展望台。

 目の前に広がる、宝石のような夜景。

 隣には、静かに自分を見つめる、端整で穏やかな顔。

 
 理央が思い出す時の悠斗の顔は、笑顔ばかりだ___


 そして、理央を引き寄せて抱きしめた、優しい腕の感触
 
 理央を惑わす、甘い声音。

 広い胸の中は温かくて、身体がバターみたいに溶かされそうだった。


 たまらなく恥ずかしくて、胸がキュンと切なく疼いて、苦しくて、それなのに……


 永遠に、この時間が続けばいいと、そう思った_____