悠斗は、理央の身体をヒョイと横抱きにすると、立ち上がった。
こ、これって、お姫様抱っこ!?と、理央は戸惑う。
「ゆ、悠斗っ!」
「ん?」
「わ、私、重いからっ」
「こんなに華奢な身体が重いわけないでしょ?いいからジッとしててね、落っこちるよ?」
理央はとっさに、悠斗の首に腕をまわす。
悠斗は理央の身体を抱いたまま、理央の部屋へと入った。
そして、理央を柔らかなベッドの上に寝かせると「おやすみ」と微笑む。
「理央が眠るまで、ここに座ってるよ」
でも理央は、悠斗の首に回した腕を離せずにいた。
「理央?」
ベッドの上、互いを間近で見つめ合う。
悠斗は、腕を離してくれない理央を不思議そうに見つめている。
「あ、あのっ……」
「どうしたの?」
「ゆ、悠斗も…その、隣で一緒に…寝てほしくて…」
「俺も?一緒に?」
驚いた悠斗に、理央は恥ずかしそうにコクンと頷いた。
自分でも、なんて大胆な事を言ってしまったんだろう。と思う。
だけど、悠斗にもっと触れていたい。
眠るまで、抱きしめていて欲しい。
今夜、会いに来てくれた悠斗のその温もりを、簡単に手放したくない。
そんな気持ちのほうが強かった。
優しい悠斗なら、快く頷いてくれると思っていたのに、悠斗の目は、動揺を隠しきれないように揺らいでいた。
「どうしたの?この前は、不安そうな顔をしてたのに?」
「この前…?」
「そう。俺が理央の家に行った時、似たような状況になった事があったでしょ?」
前に悠斗が理央の家に来た時、悠斗と部屋で二人きりになった。
時差ボケで辛そうな悠斗に、理央は、私のベッドで休んで?と言った。
そしたら悠斗は、理央も一緒に寝てくれる?って言ってきたから、理央は動揺してしまって……
