「きょ、今日は何もしてねぇよ!」
言ってから、裕太の『しまった!』という顔。
「今日は?…じゃあ、昨日はしたの?」
「な、何もしてねぇ!未遂だ!」
「未遂って…、あんた一体、理央に何しようとしたわけ!?」
「くっ……お、お前には、関係ねーだろ…!!」
「関係ある!!いい?理央は私の親友なの!理央に何かあったら私があんた、ぶん殴るから!!」
「…勘弁してくれよ。昨日はあいつに殴られそうになって、今日はお前かよ…」
小さく呟いた裕太の一言に、咲は目を丸くした。
「あいつ?あいつって?」
「あいつ以外、誰がいんだよ!」
裕太が遠くのテーブルに視線を送っている。
「そのシャツやったの、もしかして……」と咲が、その視線の先にいる悠斗を見つめて目を輝かせた。
「先輩がこいつから、理央を守るために…?」
「さ、咲ちゃん…」
「そんな美味しい事件!何で早く教えてくれなかったのよ、理央!あ〜ん、側で見たかった〜」と、叫ばれてしまった。
「はぁ。お前が、理央を守るんじゃなかったのかよ?」
「えぇっ!だって、お姫様がピンチの時、救ってくれるのは王子様がいいに決まってるじゃな〜い!」
「俺は悪役かよ…」
「当たり前でしょ?女たらしの不良なんて、王子様になれるとでも思ってんの!?」
「一生どころか、千年かかっても絶対無理だわ!」と咲は言い切る。
「後で、昨日何があったのか、ちゃんと説明してもらうからね、理央!」
興奮が収まらない咲に、「うっぜ…」と、裕太は吐き捨てるように言った後、理央をジッと見つめてくる。
「ゆ、裕太…?」
