「こんなとこに突っ立ってられると、邪魔なんだけど!」
理央と咲の後ろで、裕太が腕を組んで立っていた。
咲が、あからさまに不快な顔をする。
「何、あんた。今日学校来てたの?」
「はぁ?いるじゃねぇか、今ここに…」
「授業に一回も顔出さないなんて、来てるうちに入らないでしょ?」
確かに、今日は朝から裕太を一度も見かけていない。
担任が欠席扱いをしていたような気がするし……。
「今まで屋上にいた。うたた寝してたら昼になってた」
「はぁ?」と言う咲には目もくれず、裕太は脳天気に欠伸をする。
「にしても、外で寝るには暑すぎるな、今日は。梅雨飛び越えて、もう夏か?」
よく見れば裕太の制服は酷く着崩れている。
袖はまくりあげられているし、襟元も全て開けたままだ。
「あんたってさぁ、相変わらずだらしないよねぇ……って、どうしたの、そのシャツ!ボタン取れて、なくなってるじゃん」
咲が、裕太の襟元のシャツのボタンが3つ程、ない事に気がついた。
あっ…あれ?
もしかして、昨日、悠斗に……
「……っ……何でもねぇよ…」と、裕太は少し動揺する。
「まさか、胸ぐら掴まれた?誰かと喧嘩でもしたの?」
裕太と理央はパチリと目があった。
それを、咲は見逃さなかった。
「あんた、また理央に何かしようとした!?」
