記憶を求めて、触れた優しさ。



次の日の朝。

「はっ……はぁ、はぁ……はぁ……なによ、あの夢……」

芹那は勢いよく飛び起きた。

夢から覚めると、酷く頭痛と動悸がした。

何とか落ち着かせて、キッチンへと顔を出す。

「おはよう、お母さん」

カウンターキッチンから顔を出す母。

「おはよう芹那、体調は大丈夫?」

洗い物の手を止めて、母は心配そうに聞いてくる。

「ちょっと頭が痛いけど、平気。学校行ってくる」

「朝食要らないの?食パンだけど」

そういって目で合図する先は、サラダと食パンの乗ったプレートだった。

「パンだけ貰ってく、行ってきます」

「わかった、気をつけて行ってらっしゃい」

母は玄関まで見送ってくれた。

よほど心配してるのだろうか、普段ならそこまでしないのに。