「逃げなきゃ…」
とっさにそんなことを思って、私は階段をくだろうとした。
『「まって永田さんッ……!」』
─────キーン。
頭に激痛が走って、頭を抱えた。
私を呼ぶ、その一言であの日の記憶が蘇った。
─────────
あの日、私は体育館倉庫に呼び出されていた。
『永田さん、好きなんです、写真みてくれた?』
『写真ってあの下駄箱に入ってた、私を撮った写真?あんただったのね』
『どうしても知って欲しかったんだ』
『なんにも知らないくせにッ、私のこと振り回さないでよッ!』
わたしは、この男にストーカーされていた。
その日の朝、下駄箱を開けると私を盗撮した、大量の写真が入った封筒が置いてあった。
中身を見た途端、吐き気がした。
気持ち悪いと思った。
こんなことをする人は誰だろうって、必死に考えた。
分からなかった。
でもその日、呼び出された体育館倉庫に行くと、この身長の高い猫背の男が待っていた。
限界だった。