記憶を求めて、触れた優しさ。


「何ここ、公園?」

連れてこられた場所は、小さな公園だった。

「小さい頃、ここで2人でよく遊んだ。覚えてないだろうけど」

そこにはブランコが2つあって、滑り台と、高さの違う鉄棒が3つ並んでた。

見覚えのあるような、無いような……。

どれも錆びてて、今遊んでる子は居ないように思えた。


「小さい頃はさ、これがカラフルなペンキで塗られててさ、はしゃいで二人で遊んだよ、滑り台で立って滑ろうとして横から落ちそうになる芹那のこと助けたこともあったな」

「私を助けたの?」

「あぁ、代わりに俺が下敷きに落ちたけどな。何してるのって親に怒られた、怪我なかったから良かったけど、芹那泣いてた」

「私泣いてたんだ」

「芹那、泣き虫だからな、気の強いフリして、本当はすごく弱い、それを隠してみんなの前では必死になってる違うか?」

「なんで分かるの」

「言っただろ?俺が一番近くで見てきたって、なんでも分かる。芹那のことずっと見てきたから、芹那の好きな食べ物も嫌いな食べ物も、仕草もなんでも分かる」

「怖い……けど…それは…私が知らないから…?近くで見てきたらなんでも分かるの?」

「今日はもう帰ろう」

出口の方に向かう秀一。

「なんでっ!教えてくれるって言った」

追いかけて、腕を掴む芹那。

「今度は俺がおかしくなる、今日はもう帰って、明日また一緒に学校行こう」

「秀一?なんで急に目合わせてくれないの」

「悪い、調子悪くなった。もう帰ろう、お互い本調子じゃないしさ」

「うん、わかった」


───────「また明日」───────