記憶を求めて、触れた優しさ。


「ありがとう収まった、しゅう、いち?」

ぎこちない呼び方だったものの秀一にとっては第1歩となる嬉しい出来事になった。

「……芹那」

そう名前を呼んで、再び抱きしめた。

「やめてよ、感謝はしてるけど、そんなにベタベタしないで」

「あぁ、悪ぃ……」

「ってそういえば学校は!?行かなきゃ」

「え、こんな状態で今から行くのかよ」

「遅れてでも行くけど?」

「今日はちょっとサボろーぜ、芹那の体調も良くないし。思い出話?なんてどうだ、俺が語ってやる。来るか?」

なによ、語ってやるなんて。

「……行く」

私の消えた記憶。

秀一はどんな人なの。

あなたの前での私は、どんな人だった?

どんな私が見えてたの。