「という訳で、学校に迷い込んだ猫ちゃんを保健所に届けてきます。このままじゃ生徒が授業に集中できませんからね」
そう言って先生は、私を抱きかかえて車へ乗せる。
保健所に行く、という名目で早退して家へと戻るようだ。
何故か先生の車のトランクには、猫用のキャリーが積まれていた。
「先生、なんでこんなに先生の車って猫グッズが積んであるんですか?」
「あぁ…それはね、昔猫飼っててさ、困ってる猫ちゃんが居たら保護したいって用意してたからだよ。まぁこの顔のせいで、猫から好かれたことは無いんだけどね」
そうかな…?そこまで先生の顔は怖くない。
怖いとすれば、整いすぎてるってくらいで。
メガネをくい、とかけ直して、先生は私をキャリーへと入れる。
「それじゃあ、私が先生を好きになった猫1番目って事ですよね!!」
「まぁ…そうだね。…そんな風に言ってくれるなんて、なんだか嬉しいなぁ」
あくまでも、先生を好きになった猫だからね。
流石に猫になって先生から抱っこしてもらったなんて人、私以外に居ないだろう。
車が走り出してはや数分。先生の家は学校のすぐそこ、らしいけど…
「あ、あの…大変申し上げにくいんですけど…車酔いしました」
人間の時はそこまでしなかったのに、猫になった瞬間なんでこんなに酔うんだろう。
猫はストレスに弱く、移動が苦手だとはよく言うけど…
ぐわぁん、と視界の歪むような、そんな感覚。
「大丈夫?家まであと少しだけど…一旦外出る?」
「あと数分なら耐えれま…うぇ、ぐええ…」
「猫原さん?!」
見事にフラグを回収した私。
まぁ、眼の前の惨状はお察しの通りですよ。うん。
わざわざ言葉にするまでも無く。
敢えて言葉にするとしたら、これで私も「ゲロイン」の称号を手に入れたって事かな。
「ごめんね〜、やっぱり学校に車置いて歩いてこればよかったね」
「いえいえ、それより車のシート汚しちゃってごめんなさい…」
「何か猫の姿で言われると不思議な気持ちになるよ…猫ちゃんが吐いちゃうのは割とよくあることだから気にしないで」
なんて優しいんだろう。この先生、やっぱり仏かなんかの生まれ変わりなんじゃないかしら。
あんなインチキロリババァよりもちゃんと神様してる気がする。
「これでよしっと。それじゃあ、とりあえず…お風呂入ろっか」
お風呂。お風呂…お風呂?!
「いや、あの、自分で入りますので!!」
「猫原さんは今猫ちゃんだから自分で入れないでしょ」
あ、そっか。何言ってるんだろう…
自分でお湯を出すことだって出来ないし、何なら猫は水が苦手って言うじゃん。
仮に自分で出来たとしても、猫の適温と人間の適温は違うわけで…
火傷しちゃったりしたら元も子もない…
「まぁ…学校の先生が例え猫の姿だとはいえ女子生徒をお風呂に入れる…なんてねぇ…」
「意味ありげな視線やめてくださいよ!!そういうのじゃありませんから!」
「緊張してるのかな〜?もしかしてこういうこと初めて?」
「初めてに決まってるじゃないですか…だって私男の人とお風呂なんて入ったこと無いですもん。…って何言わせるんですか…」
もしかして今、そういう目で見られてる?
私の中で、このままの関係で居たい気持ちと、猫ではなくて私…猫原春音を見てほしい思いが交錯していた。
少なからず、Sっ気のある姿勢にキュン、と来てしまった。
それは、普段のクールな姿勢にときめくのとはまた違う、もっと心の奥に来るときめき。
普段は見せない、きっと私だけに向けられている色気のある視線…
「ふふ、冗談だよ。本当にそんなコトしたら先生が逮捕されちゃうからね〜。猫ちゃんとして見てるよ」
そう言った後に先生は、「今はね」と囁いた。
「さてさて、そろそろお風呂に行こっか」
そう言われて案内されたお風呂場。
ペット可なマンションなだけあって、広めのお風呂が完備されている。
そして、ペット用のバスタブに入れられる。
道具を大切にしているということは、それだけ先住猫さんが大好きだったということだろう。
何か、軽率に先生を一番最初に好きになった猫、なんて言ったのが恥ずかしいような気がする…
「お湯、熱くないかな?」
シャワーから出てくるお湯が、体を温めて汚れを落としていく。
中身が人間なので、特段水は苦手という訳でもなく。
「大丈夫です…」
「ふふ、何かさっきより体温かい。お湯で温まったんじゃなくて〜、あ〜、もしかしてやっぱ恥ずかしがってる?」
軽くブラシで私の毛を解きながら、先生は私の背中辺りに触れる。
「だって、だってぇ…こんなことで初めて先生とお風呂に入っちゃうなんて…思わないじゃないですか…」
「ん〜?それはもしかして、先生とお風呂入りたいな〜って前から思ってたの?」
あ、バレた。
実は私は妄想癖があり、実際に夢の中で先生とあんなことやそんなこと…
の妄想をしていた。
こんなタイミングでバレるなんて、人間に戻った頃には引かれちゃってるかな…
「あらあら、黙り込んじゃって〜」
そう言いながらくまなく猫用シャンプーで私を洗っていく先生。
「いけないいけない。そろそろ先生が本気で怒られちゃうね」と笑いながら、泡を流す。
ふかふかのバスタオルで全身をくるまれる。
無意識に服やスキンケアの用品を視線で探したけど、猫視点で見えるのは排水管っていうね。
「ドライヤーかけるね」
そう言って先生が取り出したのは、結構高級なペット用のドライヤー。
静音設計で、聴覚の過敏な動物でも使えるやつ。
ドライヤーを使う時に音は気になるものだから、人間に戻ったら人間用を買ってみようかなと考えたり。
「お風呂気持ちよかった?」
こくり、と頷くと、「良かった〜、じっとしてて偉かったね」と頭を撫でられる。
中身が自分に片思い中の女子生徒だと分かっていながらの行動なのか…
ともかく、先生は猫をでろんでろんに溺愛していること、心臓に悪い事は分かった___
「よーし、ドライヤー終わり〜!」
そう言いながら先生は私を抱きかかえると、洗いたてのふかふかになった私の体に顔を埋める。
これってもしかして間接…キス…?!
先生のほんのり湿った唇が、肌に吸い付いている。
「いい匂いだね〜…あ、ごめん、猫を洗い終わった後の癖でつい」
先生はごめん、と言いつつも、全く悪びれる様子はなし。
これが、俗に言う猫吸いという奴か…
全身がくすぐったくて、身を捩らせる。
「あ〜、逃げちゃダメ、もうちょっと堪能させてよ〜」
それから約1時間程度、私は猫吸いに捕まるのだった…
そう言って先生は、私を抱きかかえて車へ乗せる。
保健所に行く、という名目で早退して家へと戻るようだ。
何故か先生の車のトランクには、猫用のキャリーが積まれていた。
「先生、なんでこんなに先生の車って猫グッズが積んであるんですか?」
「あぁ…それはね、昔猫飼っててさ、困ってる猫ちゃんが居たら保護したいって用意してたからだよ。まぁこの顔のせいで、猫から好かれたことは無いんだけどね」
そうかな…?そこまで先生の顔は怖くない。
怖いとすれば、整いすぎてるってくらいで。
メガネをくい、とかけ直して、先生は私をキャリーへと入れる。
「それじゃあ、私が先生を好きになった猫1番目って事ですよね!!」
「まぁ…そうだね。…そんな風に言ってくれるなんて、なんだか嬉しいなぁ」
あくまでも、先生を好きになった猫だからね。
流石に猫になって先生から抱っこしてもらったなんて人、私以外に居ないだろう。
車が走り出してはや数分。先生の家は学校のすぐそこ、らしいけど…
「あ、あの…大変申し上げにくいんですけど…車酔いしました」
人間の時はそこまでしなかったのに、猫になった瞬間なんでこんなに酔うんだろう。
猫はストレスに弱く、移動が苦手だとはよく言うけど…
ぐわぁん、と視界の歪むような、そんな感覚。
「大丈夫?家まであと少しだけど…一旦外出る?」
「あと数分なら耐えれま…うぇ、ぐええ…」
「猫原さん?!」
見事にフラグを回収した私。
まぁ、眼の前の惨状はお察しの通りですよ。うん。
わざわざ言葉にするまでも無く。
敢えて言葉にするとしたら、これで私も「ゲロイン」の称号を手に入れたって事かな。
「ごめんね〜、やっぱり学校に車置いて歩いてこればよかったね」
「いえいえ、それより車のシート汚しちゃってごめんなさい…」
「何か猫の姿で言われると不思議な気持ちになるよ…猫ちゃんが吐いちゃうのは割とよくあることだから気にしないで」
なんて優しいんだろう。この先生、やっぱり仏かなんかの生まれ変わりなんじゃないかしら。
あんなインチキロリババァよりもちゃんと神様してる気がする。
「これでよしっと。それじゃあ、とりあえず…お風呂入ろっか」
お風呂。お風呂…お風呂?!
「いや、あの、自分で入りますので!!」
「猫原さんは今猫ちゃんだから自分で入れないでしょ」
あ、そっか。何言ってるんだろう…
自分でお湯を出すことだって出来ないし、何なら猫は水が苦手って言うじゃん。
仮に自分で出来たとしても、猫の適温と人間の適温は違うわけで…
火傷しちゃったりしたら元も子もない…
「まぁ…学校の先生が例え猫の姿だとはいえ女子生徒をお風呂に入れる…なんてねぇ…」
「意味ありげな視線やめてくださいよ!!そういうのじゃありませんから!」
「緊張してるのかな〜?もしかしてこういうこと初めて?」
「初めてに決まってるじゃないですか…だって私男の人とお風呂なんて入ったこと無いですもん。…って何言わせるんですか…」
もしかして今、そういう目で見られてる?
私の中で、このままの関係で居たい気持ちと、猫ではなくて私…猫原春音を見てほしい思いが交錯していた。
少なからず、Sっ気のある姿勢にキュン、と来てしまった。
それは、普段のクールな姿勢にときめくのとはまた違う、もっと心の奥に来るときめき。
普段は見せない、きっと私だけに向けられている色気のある視線…
「ふふ、冗談だよ。本当にそんなコトしたら先生が逮捕されちゃうからね〜。猫ちゃんとして見てるよ」
そう言った後に先生は、「今はね」と囁いた。
「さてさて、そろそろお風呂に行こっか」
そう言われて案内されたお風呂場。
ペット可なマンションなだけあって、広めのお風呂が完備されている。
そして、ペット用のバスタブに入れられる。
道具を大切にしているということは、それだけ先住猫さんが大好きだったということだろう。
何か、軽率に先生を一番最初に好きになった猫、なんて言ったのが恥ずかしいような気がする…
「お湯、熱くないかな?」
シャワーから出てくるお湯が、体を温めて汚れを落としていく。
中身が人間なので、特段水は苦手という訳でもなく。
「大丈夫です…」
「ふふ、何かさっきより体温かい。お湯で温まったんじゃなくて〜、あ〜、もしかしてやっぱ恥ずかしがってる?」
軽くブラシで私の毛を解きながら、先生は私の背中辺りに触れる。
「だって、だってぇ…こんなことで初めて先生とお風呂に入っちゃうなんて…思わないじゃないですか…」
「ん〜?それはもしかして、先生とお風呂入りたいな〜って前から思ってたの?」
あ、バレた。
実は私は妄想癖があり、実際に夢の中で先生とあんなことやそんなこと…
の妄想をしていた。
こんなタイミングでバレるなんて、人間に戻った頃には引かれちゃってるかな…
「あらあら、黙り込んじゃって〜」
そう言いながらくまなく猫用シャンプーで私を洗っていく先生。
「いけないいけない。そろそろ先生が本気で怒られちゃうね」と笑いながら、泡を流す。
ふかふかのバスタオルで全身をくるまれる。
無意識に服やスキンケアの用品を視線で探したけど、猫視点で見えるのは排水管っていうね。
「ドライヤーかけるね」
そう言って先生が取り出したのは、結構高級なペット用のドライヤー。
静音設計で、聴覚の過敏な動物でも使えるやつ。
ドライヤーを使う時に音は気になるものだから、人間に戻ったら人間用を買ってみようかなと考えたり。
「お風呂気持ちよかった?」
こくり、と頷くと、「良かった〜、じっとしてて偉かったね」と頭を撫でられる。
中身が自分に片思い中の女子生徒だと分かっていながらの行動なのか…
ともかく、先生は猫をでろんでろんに溺愛していること、心臓に悪い事は分かった___
「よーし、ドライヤー終わり〜!」
そう言いながら先生は私を抱きかかえると、洗いたてのふかふかになった私の体に顔を埋める。
これってもしかして間接…キス…?!
先生のほんのり湿った唇が、肌に吸い付いている。
「いい匂いだね〜…あ、ごめん、猫を洗い終わった後の癖でつい」
先生はごめん、と言いつつも、全く悪びれる様子はなし。
これが、俗に言う猫吸いという奴か…
全身がくすぐったくて、身を捩らせる。
「あ〜、逃げちゃダメ、もうちょっと堪能させてよ〜」
それから約1時間程度、私は猫吸いに捕まるのだった…

