カツカツカツ……

 二人の元にヒールの音が近づいてきた。
「貴方達、もう少しで授業始まるわよ」
 理科担当の御嵩紗子《みたけさえこ》だった。スカートルックにおっとりとしているがマドンナ的な人気のある可愛げはあるのだが少し目の奥が笑ってない。

 葵の腕にしがみつく希菜子を見て御嵩先生は
「青春ねぇ」
 と言って去って行った。

 葵はそうかぁ? という顔をしているが横の希菜子はニコーっとする。そして二人とも教室に走って行った、が……。

「こら! 廊下を走るなっ」
 今度のヒール音はとてもリズムが速い。うわ、と葵たちは振り返る。

「うわー」
 仁王立ちするのは美術担当、高橋綾子《たかはしあやこ》だった。
 小柄な痩せ型。御嵩先生とは違ってモノトーンルックで赤いメガネが異色感漂わせ、気高い雰囲気を醸し出す。彼女は規則に厳しい。そして授業開始のチャイムが鳴った。