この恋心は秘めている。コウと同じように男でも女でも誰でも好き、というわけでもなく男の人が苦手なだけで女なら誰でもいいわけではない。人見知りである。

 希菜子は葵だけが好きなのだ。
 誰でも好き、というのを除けばコウに共感する。

 和菓子屋の前で引き出物を準備していたコウがこっそり希菜子に話してくれたのだ。

 個人情報漏えいになるのだが自分と同じ人がいたのか、と思うと希菜子は心を揺さぶられた。

 ちなみに葵は好きな男性がいるわけでもなくもちろん女性で特定な人もいるわけでもないのは知っていた。

 でも希菜子が好きとまで言っていない。
 ただの幼馴染である。

 希菜子は好き好き! と鬱陶しく葵に言うが他のサイトみたいにかっこいいから好き、と同じものだと思われているようだ。

 だが希菜子は本気である。もう他の誰にも葵は渡したくない、子供の頃からずっと葵と一緒にいる。花嫁になるって決めていた。

 だが自分は老舗和菓子屋の一人娘、かたわら葵は一般家庭の次女。和菓子創作の知識どころか接客よりも営業職でバリバリ働きたい人間である。

 それ以前に日本だと法の制度が変わらない限り希菜子と葵は結婚はできない。

 もし葵に好きな人ができたら、希菜子自身も老舗和菓子店の一人娘……お見合いをさせられてしまったら……と思うと希菜子は複雑になる。

 「自分もいつか好きな人とここの神社で花嫁行列するんだ」
 とポロっと希菜子は口にした。まずは言わなければ始まらない。

 希菜子は葵を見た。

 「2人でしようね、花嫁行列」

 葵は目を真っ赤にしていてタオルハンカチをスカートの中に入れた。
 そして希菜子の手を握った。それは突然のことだ。
 「……葵」
 「二人とも白無垢でもいいのかな」

 希菜子はその言葉に頭の回転が追いつかない。

 「コウさんには可哀想だけどきっと幼馴染が幸せになって欲しい、という気持ちだったろうな。今の世の中だと。でも私はその世の中を乗り越えて私は希菜子と一緒にいるから……」
 「ふぇっ、へっ!」
 葵は顔を真っ赤にして手を握ったまま反対方向を見た。希菜子は突然の告白に変な声が出てしまった。
 そして涙が流れる。

 「……葵っ」
 持っていたもう一枚の自分用のハンカチで涙を拭った。

 すると花嫁行列が2人のいるところに向かっているではないか。希菜子は焦るが葵は手を握ったままだ。

 そして花嫁と花婿がやってきた。その前にはコウもいる。