「まぁ似た感じかもしれないけどさ……幼馴染なのは花婿さんと傘持ちの男の人よ」
 「えっ」
 「花嫁さん……渚さんとはお話ししたことがあるの」
 「あ、そうなの」
 葵は自分の妄想がサーっと消えた。

 「本当は渚さんは傘持ちの男の人……コウさんっていう人が好きだったんだけど見向きもしてくれなかったんだって」
 「そ、そうなんだ」
 「んで、花婿さん……由貴さんなんだけど彼が渚さんのこと好きだったんだって」
 「……なんかすっごい展開……」
 予想外の展開に葵は興奮する。すると花嫁……渚さんが二人に気付いたようだ。希菜子は手を振る。

 「んでね、渚さんはコウさんにアタックするものの……見向きもしてくれない。別に嫌ってるわけじゃないらしいけど、なんでかな? なんでかなって」
 「ほぉ。てか渚さんは由貴さんのことは?」
 すると花婿の由貴も手を振る。どうやら彼も希菜子を知っているようだ。

 「……渚さんはコウさんのことしか見てなかったから。もちろん嫌いではなかった」
 「ほーう……」
 葵は段々展開していく真実に心が躍る。

 「んで、んで?」
 「葵、せかさないで。コウさんはね……異性愛者とか同性愛者とか関係なく人が好きな人でね。どっち寄りでもないの」
 その言葉に葵はハッとした。

 「……人として同性で幼馴染の由貴さんが好きだった」
 「……」
 「昔子供の頃に山で遭難して二人でなんとか生還して……そこから色々あってまた離れ離れになっても大人になってから見知らぬ土地で偶然に再会したの」
 「そんなことが……言われないと背景わからないものね」
 と葵は散々修羅場妄想しておきながらもまだ続きを知りたいようだ。

 「でもコウさんは由貴さんが渚さんのことを好きということを知っていたから……わざと自分は渚さんからの恋のアタックを無視し続けて、由貴さんと結びつけた」
 「……そんなの辛い」
 「案外、渚さんも年下になるけど由貴さんのこと悪くは思っていなかったしハプニングもあって一生懸命尽くす彼のことを感謝して恋に落ちたそうよ」
 葵はそれを聞いて希菜子のハンカチで顔を覆った。

 「葵?!」
 「ふええええーっ!」
 「こんな姿みんなが見たらびっくりしちゃうわ……でもそこがいいかもしれないけどぉ」
 希菜子はサッと葵の前に立った。周りに見られないように立つ。

 普段は女子高でメンズライクな葵はクールな所でモテるのだがこういう一面があるのを知っているのは学校の中でも希菜子だけなのだ。
 希菜子はそれを知られたくない。

 なぜなら……。


 希菜子も葵が好きだからだ。