半刻後、福岡藩諜報方家老田島 十兵衛(タジマ ジュウベエ)が福岡城西の丸に到着した。

「殿、いかがなされました?」

慌てふためいて平伏する十兵衛に殿は

「長崎警備の平尾からこのような書状が届いた」

と先程の手紙を十兵衛に渡す。

「それでは失礼して中身を拝見」

そう言いながら立ち上がり手紙を持った右手を上に上げ斜め下に振り下ろし左手を下から添えた。

「いつ見ても見事じゃ」

ってねぇ…たかが手紙広げるだけなのに大袈裟なんだよ。