早速殿に謁見した使者は預かって来た手紙を渡す。

殿は、慌てず騒がず落ち着き払い手紙を広げた。

「うぬぬ…何たる事、長崎がこんな事態になっておろうとは…誰か誰かおらぬか?」

険しい顔になった殿は辺りを見渡しながら叫んだ。

一人の小者が殿の前に跪いた。

「殿、何なりと仰せ付け下さい」

「使者の者を休ませるよう…そして十兵衛を呼んでまいれ」

藩の緊急事態にまたもや十兵衛の出番がやって来た。