それから、紗南はどんどん病状が悪化した。
紗南のお見舞いで病室に向かっている途中にあるカンファレンスルームのところで馴染みのある声がした。
「いや、さ、紗南の余命があと少しだなんて!」
私の両親だった。
母の泣き叫ぶ声に続いて、紗南の担当医の人の声がした。
「紗南ちゃんの病気はもう治らないんです。後は、緩和ケアにするという事になってしまうんです」
医者の言葉を聞いて、胸がズンと重くなった。
紗南の、病気は治らない?何で、そんな事言うの?治る、治るに決まっている!
そう、信じていた。でも、現実は違った。
その日、重い足取りで紗南の病室に向かった。
横たわって、規則正しく呼吸をする紗南の姿がもう見えなくなると思うと怖かった。
「お姉ちゃん…」
「ん?」
必死に口角を上げようとした。でも、ピクピクしていて無理に笑っていることが気づかれた。
「お姉ちゃん。天使って知っている?」
「知っているけど、実在はしないでしょ」
「ううん。実在するの」
実在する?天使が?夢物語か?
「もし、私が死んだら天使になってお姉ちゃんのお願い何でも1つ叶えてあげる」
「え、」
紗南が、死んだら、天使になって私の願いを叶え、る?
「どうしてー?」
「お姉ちゃんには幸せになってほしいから」
その言葉が今も耳からこびりついて離れない。
何でも、1つ。
その時の私は、紗南の病気を治してほしい、だった。でも、紗南はそんな願いは受け入れてくれないだろう。
「ありがとうー、ありがとうー、紗南ー」
「どういたしまして、南花お姉ちゃん」
初めて呼んだ私の名前を入れての“南花お姉ちゃん”。その言葉に涙が溢れ出るほど嬉しかった。
紗南のお見舞いで病室に向かっている途中にあるカンファレンスルームのところで馴染みのある声がした。
「いや、さ、紗南の余命があと少しだなんて!」
私の両親だった。
母の泣き叫ぶ声に続いて、紗南の担当医の人の声がした。
「紗南ちゃんの病気はもう治らないんです。後は、緩和ケアにするという事になってしまうんです」
医者の言葉を聞いて、胸がズンと重くなった。
紗南の、病気は治らない?何で、そんな事言うの?治る、治るに決まっている!
そう、信じていた。でも、現実は違った。
その日、重い足取りで紗南の病室に向かった。
横たわって、規則正しく呼吸をする紗南の姿がもう見えなくなると思うと怖かった。
「お姉ちゃん…」
「ん?」
必死に口角を上げようとした。でも、ピクピクしていて無理に笑っていることが気づかれた。
「お姉ちゃん。天使って知っている?」
「知っているけど、実在はしないでしょ」
「ううん。実在するの」
実在する?天使が?夢物語か?
「もし、私が死んだら天使になってお姉ちゃんのお願い何でも1つ叶えてあげる」
「え、」
紗南が、死んだら、天使になって私の願いを叶え、る?
「どうしてー?」
「お姉ちゃんには幸せになってほしいから」
その言葉が今も耳からこびりついて離れない。
何でも、1つ。
その時の私は、紗南の病気を治してほしい、だった。でも、紗南はそんな願いは受け入れてくれないだろう。
「ありがとうー、ありがとうー、紗南ー」
「どういたしまして、南花お姉ちゃん」
初めて呼んだ私の名前を入れての“南花お姉ちゃん”。その言葉に涙が溢れ出るほど嬉しかった。



