Dear you,(拝啓、あなたへ)

また、場面が変わった。
「お姉ちゃん…」
今度は、弱々しい紗南の声。身体に点滴など色々な器具がベットの周りを埋め尽くしていた。
「どうしたの?」
「ごめんね。紗南のせいでママもパパも…」
「謝らないで。今は、治ることに専念しよう」
治ると信じていた。

でも…
「治らないよ。ママたちがそう言っている」
「え、」
いつかは、治ると信じていた。そして、また笑い合って遊び倒して。そんな日がまた始まるとそう信じていた…。
「お姉ちゃん。そんな悲しそうな顔しないで?実はね、トイレに行く途中でママ達が先生と話しているのが少し聞こえたんだよね…」
私を笑顔にしようと眉を歪ませながら笑う紗南に胸がギリギリと痛んだ。
「さ、なみ…。お願いだから、そんなこと言わないで…」
辛そうな顔を浮かべながら紗南は、必死で生きた。