晴れ時々、零れ桜

話を聞くと、朝の彼女は、風間美玖という人で中学校が同じだったらしい。卒業の日に告白され、桜田君が曖昧な返事をしたことがきっ

かけに、彼女は付き合い始めたと勘違いしたらしい。

まぁ、ちゃんと返事しなかった俺のせいでもあるし、という理由で少しの間付き合っていたという。

ここまで聞いて私は、イケメンは苦労するんだな、と思っていた。

風間さん、嬉しかっただろうな。私にはそんな気持ち、分からないけど。

二人が付き合い始めて数週間がたったころ、彼女は本当の顔を見せ始めたらしい。

登下校は必ず一緒に。学校のお弁当は風間さんの手作り。お互い異性とはなるべく話さない。

そんなルールを決めだした風間さんが面倒になってきたという。

私がさっき風間さんに見られていたのは、桜田君関係なんだろうか。
 
「ねえ。桃萌ってさ、好きな人とかいるの?」

えっ、いきなりなんなの!?

「今日の放課後さ、あの公園に来てくれない?」

「う、うん」

心臓がドキドキする。桜田君と今日会ったばかりなのに。今日が初めましてなのに。

早く放課後にならないかな。